8月6日 |
奥森吉に3万人の輪
日本ジャンボリー、集会で交流
森吉町の奥森吉青少年野外活動基地で開かれている「第十二回日本ジャンボリー」(ボーイスカウト日本連盟主催)第三日の五日は、大会のメーンイベントのジャンボリー大集会が開かれ、皇太子殿下も出席しお言葉を述べられた。会場のアリーナには、スカウト約二万四千人、一般参観者約五千人ら計約三万人が集い、都道府県代表の演技やパレードを楽しんだ。一カ国増えて三十四カ国約五百人となった外国派遣団も参加し、代表が演技を披露した。
大集会は参加者が一堂に会し交流を深める場。皇太子殿下はボーイスカウトのシンボルであるネッカチーフと、クマゲラをデザインした参加章を付けて会場入り。昭和五十三年の第七回大会(静岡県御殿場)からジャンボリー会場を訪れている殿下は「国際貢献活動への取り組みについて、頼もしく思っております。二十一世紀を担う国際人を目指して研さんを積まれることを願います」などと述べられた。
この後、参加隊が全国十三ブロックに分かれて、地域色豊かに演技を披露した。九州は博多祇園山笠を摸したみこし、大阪は天神祭りなどを披露。兵庫県は底抜けに明るいラテン系の踊りを演じたかと思うと一転して黙とう。「震災支援ありがとう」という横断幕を広げた。本県派遣団を含む東北ブロックはしんがりで「花笠音頭」の踊りでパレードした。
続いて参加五百六十七隊の代表が旗を持って入場。参加スカウトを代表して奥津亮輔君(宮城県石巻第六団)が「初めて参加したジャンボリーの規模の大きさに驚いています。この感動を胸に永遠にスカウティングを続けていくことを決意します」と決意の言葉を述べた。
外国派遣団の演技披露は、韓国など三カ国が踊りや演奏を行い、スコットランドは民族衣装のスカート姿でフォークダンスを演じた。続いて開催地にちなみ成田為三(森吉町出身)作曲の「浜辺の歌」を全員で合唱。綴子大太鼓が大音響で参加者を驚かせた。
<写真はブロックごとに地域色豊かな演技を披露した大集会>
参加者に温かいお言葉
本県をご訪問中の皇太子殿下は五日、森吉町で開催されている第十二回日本ジャンボリーの大集会に出席、スカウトを激励された。
皇太子殿下は、田沢湖町の宿泊先から西木村、阿仁町を経由、森吉山ろくのジャンボリー会場へ。沿道では多くの住民の歓迎を受け、お車の窓を開けて笑顔で手を振られた。
ジャンボリー会場では、四方の山々が見渡せる「大印展望所」に立たれ、上島真一郎・ボーイスカウト日本連盟常務理事からサブキャンプの設営状況、また小野寺清・県教育長からは、本県の山々やクマゲラの生息状況、山ろく一帯を人間と自然が共存できる一大拠点にするという県の方針などについて説明を受けられた。皇太子殿下は、ブナの植林やクマゲラの生息エリアの保護拡大といった点に特に関心を示された。
会場内の青少年野外活動センターで代表スカウトを表敬された皇太子殿下は、午後二時前からの大集会にご臨席し、お言葉を述べられた。その後、全国のスカウトがそれぞれの地域の祭りを披露する「日本の祭りパレード」などもご覧になり、ご自身でもカメラのシャッターを切るなどして、ジャンボリー最大のイベントを楽しまれた。
皇太子殿下は、きょう六日、大館市の大館郷土博物館を視察され、鷹巣町のあきた北空港から離県される予定。
<写真はお言葉を述べられる皇太子殿下>
自然へ配慮、工夫を凝らす
森吉山ろくの大自然を享受する「第十二回日本ジャンボリー」の大きなテーマに、自然との共生が挙げられている。約二万七千人がキャンプ生活を送ること自体が自然破壊につながる恐れがあるため、主催団体のボーイスカウト日本連盟では、環境保全の徹底を機会あるごとに参加スカウトに呼び掛けている。
仮設トイレを会場内に千台設置し、ごみの分別収集も徹底している。最も気を使っていることは生活排水の処理で、調理後の排水処理は参加隊ごとに工夫している。
愛媛県派遣団はろ過用の布を通してから、側溝に流していた。秋田派遣団第二隊はざるで固形物を取り除き、フィルターや砂を敷いた石油缶のろ過装置を通してから排水していた。食器用洗剤や仮設シャワー用のシャンプーなども合成洗剤を禁止し、天然素材の洗剤を義務付けるなど指導は徹底している。
また、調理にプロパンガスを使うのも環境対策の一つ。第十一回日本ジャンボリーから導入された。それまでは大量のまきを用意する必要があり、じか火は草地を傷めるデメリットもあった。プロパンガスは熱効率がよく調理時間も短い。スカウトの活動時間が増えるメリットもあるという。
<写真はジャンボリー会場では参加隊ごとに工夫して生活廃水対策。愛媛県派遣団では布製のろ過装置を使用。>