8月7日

ジャンボリー会場に豪雨

早朝から排水作業

 「第十二回日本ジャンボリー」会場の森吉町の奥森吉青少年野外活動基地は六日午後九時ごろから雨が降り出し、七日明け方には一時間で一一ミリの豪雨となった。一部で側溝からあふれた水がテントサイトに流れ込んだ地区もあり、溝を掘って流し出す作業に追われた。しかし、スカウトたちは疲れを見せずに朝食を楽しんでいた。

 秋田地方気象台によると、森吉町の森吉山にあるアメダスでは、六日午後九時過ぎから降り始め、七日午前八時までの雨量は四八ミリ。午前四時から五時までは一時間で一一ミリの強い雨となった。

 昨年の東北キャンポリーで豪雨に見舞われ、撤退を強いられた地区には、今回は秋田派遣団がテントを張っている。その中でも沢水が流れ込みやすい区域が割り当てられたのは秋田三十三団で構成する秋田第七隊(松本勝彦隊長)。同隊では高床式の台を作り、その上にテントを張っていたため浸水は免れた。三十三団の委員長代行の高橋和村さん(69)。「昨年の経験を生かし、対策はばっちり。雨の量も昨年よりは少ない」と語っていた。

 側溝の水があふれたのは大阪派遣団五十一隊。午前四時過ぎからテントサイトに水が流れ込み、薄暗いうちから排水作業に追われた。永阪昇造隊長(43)は「雨だけならば対応できたが、流れ込んだ水には困った」と話していた。一部のテントに水が流れ込み寝袋がぬれたスカウトもいた。

 また、雨のため川の水が濁り、給水施設は常設が午前四時、仮設が午前五時に取水停止された。貯水量は仮設施設だけで二十トンあり、給水には支障がなかった。大会本部では六日中に、給水停止に備えて水のくみ置きを指示していた。

 雨のため七日朝に予定していた公式行事の宗教儀礼は中止された。この行事はボーイスカウトの始祖バーデン・パウエル卿の思想に基づいて行われているもので、各宗派ごとに分かれて行う予定だった。

<写真はテントサイトに流れ込んだ水を排水する大阪51隊のスカウトたち>

日本ジャンボリーでWG競技に挑戦

 森吉町の奥森吉青少年野外活動基地で開かれている「第十二回日本ジャンボリー」(ボーイスカウト日本連盟主催)第四日の六日は、興味のある自然体験やスポーツ、ゲームなどに取り組む選択プログラムが行われ、スカウトたちは基地を出て場外プログラムに積極的に取り組んだ。場外ゾーンの合川町の北欧の杜公園には約二千人のスカウトが参加、二〇〇一年に本県で開催されるワールドゲームズ(WG)秋田大会の競技などに挑戦した。

 公園は県が約二百ヘクタールを超す広大な土地を活用し、公園リゾートを目指して整備を進めており、現在レクリエーションゾーン、野鳥観察舎など約六十八ヘクタールが利用できる。プログラムはワールドゲームズ、野鳥観察、熱気球、スポーツカイト、バイアスロン、サイクルチャレンジ、ペットボトルロケットなど十二種目が用意された。

 中でも、ワールドゲームズの競技はスカウトたちの興味を引き、フライングディスク、キャスティングなどを体験しようとたくさんの人でにぎわった。

 「日本ジャンボリーに参加することになって初めてワールドゲームズの存在を知った」というスカウトが多かったが、「以前から知っていた。面白い競技が多い」という声も。

 フライングディスク体験では直径二十センチのディスクを投げて飛距離を競ったり、十メートル以上離れた的に入れる競技に挑戦。四十メートルを超す大遠投を記録する参加者もおり、会場に歓声が起こった。キャスティングではリール竿を使っておもり(七・五グラム)を投げ、十―十二メートル離れた的(直径七十六センチ)を狙った。参加者の中には前に投げられず、悪戦苦闘する姿も見られた。

 兵庫県から参加した友岡祐一君(12)は「フライングディスクは見た目は簡単そうだったけど、やってみたら難しかった。キャスティングは的に当てることができた」と語っていた。

皇太子さま 曲げわっぱ制作ご見学

 三日間にわたり本県にご滞在していた皇太子殿下は六日、大館市の大館郷土博物館を視察した後、あきた北空港(鷹巣町)から離県された。

 大館郷土博物館では、同市の伝統工芸・曲げわっぱの制作過程などをご覧になった。伝統工芸士の柴田慶信さん(58)=大館市清水三丁目=が天然秋田スギを用いて曲げの技を披露すると、殿下は「大変難しく、すごい仕事をしていますね」と伝統技術に生きる柴田さんにお声をかけた。

 殿下はこの後、七月に開港したばかりのあきた北空港に向かわれ、寺田典城知事をはじめ大勢の住民が見送る中、午後零時四十分発のエアーニッポン(ANK)機で離県、東京にお帰りになった。

全国から後輩スカウト結集

 六日の日本ジャンボリー会場はカブ・ビーバーデー。ボーイスカウトは小学校五年―中学三年で、カブスカウト(小学二年―五年)とビーバースカウト(幼稚園―小学二年)はその後輩に当たる。上のクラスには該当する学年の九月に上がる仕組み。この日は先輩たちのキャンプ生活を見学するため、全国からカブ・ビーバースカウトが集い、アリーナでは交流の集いが開かれた。

 また日本ジャンボリーでは、会場内で地元のロータリークラブが例会を開くことが恒例となっている。六日は青少年野外活動センターで米内沢、鷹巣の合同例会が開かれ、県内各地のロータリアンやジャンボリーに参加している大会役員のロータリアンら約百五十人が交流した。鷹巣ロータリークがホームステイで受け入れているロシア人二十二人も会場に招待された。

外国人スカウトが竿燈見学

 森吉町で開かれている「第十二回日本ジャンボリー」(ボーイスカウト日本連盟主催)に参加している外国人スカウトたちが、六日夜の竿燈まつりを見学に訪れた。

 竿燈を楽しんだのは、ボーイスカウト秋田連盟がジャンボリーに招待した三十三カ国五百人のうち、アメリカ、スコットランド、チリ、リトアニア、パレスチナなど十二カ国の百人。

 アフリカ南部のスワジランドから来たワンディル・スィメラネ君(17)は「カントー、ベリーナイス。ハッピも素晴らしい衣装。秋田の人は親切。食べ物もおいしい」と話し、ブラジルのブルーナ・オリスターニオさん(16)は「ブラジルにもリオのカーニバルがあるけど竿燈は独特で素晴らしい」と言いながら倒れて来る竿燈に歓声をあげていた。

 一行は、おはやしに合わせて踊ったり「ドッコイショー、ドッコイショ」と手拍子をたたいたりと盛り上がっていたが、午後八時過ぎから雷を伴う雨が降り出し、竿燈の演技は途中で中止、観光客などが竿燈を体験できる「ふれあいの時間」も取りやめとなった。体験コーナーを楽しみにしていた外国人スカウトたちは「オーノー」と残念そうに宿泊施設へ戻っていた。

地元住民が「伝統伝授」など奉仕活動

 「第十二回日本ジャンボリー」では地元住民が奉仕活動を展開している。「マタギ体験」や「クラフト館」ではスカウトたちに秋田の伝統を伝授し、食堂では一般参観者らに食事を提供した。

 「マタギ体験」はスカウトが体験する選択プログラムの一つ。ボーイスカウト秋田連盟第二団(阿仁町)の佐藤昭春委員長(69)をリーダーとする阿仁町民十人がマタギの道具を説明したり、ひもの結び方を教えたり、猟銃の模型を持って走るゲームの指導を行ったりした=写真。マタギ二人も協力し、昔ながらのマタギ衣装で説明役を務めた。阿仁町の「熊牧場」からは子グマ二頭が”参加”した。スカウトらがこわごわとなでていた。一方の「クラフト館」では森吉町の住民グループ「中成会」(玉造鉄治会長)の会員七人がわら細工の指導に当たった。

 会場中央のアリーナでは森吉町商工会員が食堂の運営に当たり、連日二十人が働いた。人気のメニューはたこ焼きや牛丼(どん)という。


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